学長メッセージ

「実学の重視が目指すもの」

 

 人工知能(AI)技術の飛躍的な進化によって1020年後に「なくなる職業」と「なくならない職業」が取りざたされています。AI技術は、人間では処理できない過去の膨大なデータをもとに「正解がある問題」の正解を導き出すことを目的として発達しています。そのため、過去のデータがない問題や、人間の心や感情を扱う「正解のない問題」を扱うことは不得意です。本学で学ぶことができる「保育」と「栄養」は、正解か不正解か割り切ることができない、人間にしか扱うことができない職業に直結していることから、今後ますますその重要性が認識されるようになるでしょう。
 どのような職場であっても、多様な価値観を持った人たちと一緒に仕事をする機会は、今後ますます増加することが予想されます。異なる価値観を持つ人が出会ってコミュニケーションをとる時、AI技術が得意とする「正確な情報」をやり取りするだけでは乗り越えられない壁があります。目と目が合った時に湧き上がる言葉にできない「感情」を無視することはできません。その「感情」を上手にコントロールして対人関係を良好に維持したり、「お互いにもっと深く交流したい」と思ったり、「この人と一緒に仕事がしたい」など前向きな気持ちになる能力が必要です。
 本学の建学の精神である「人間性の涵養と実学の重視」は、まさにこのような現代社会でこそ大切な教育の方向性を指し示すものです。「実学の重視」とは、単にすぐに役に立つ知識や技術の獲得を重視することではありません。「実際の現場で経験を積み重ねることによって、知識と技術を自分のものにする過程を重視」することです。経験の蓄積は、人を成長させる原動力です。本学は、「正解のない問題」に直面する経験を通して「心の知能指数(EQ)」を高めることを目指した教育を行っています。そこで育まれる「あなたらしさ」を仕事力に変えていきましょう。

 

宇部フロンティア大学短期大学部
学長  長坂 祐二